2学期 始業式
暑い夏がまだまだ続いていますが、朝晩は秋の気配が漂ってきました。
秋冬に向けて、野菜や花の苗づくりが、また、稲の収穫の準備が行われている今日この頃です。
2学期の始業式が行われました。本日も暑さ対策のため、オンラインでの始業式でした。
久しぶりの生徒のにぎやかさに、2学期が始まるんだなと職員も実感しています
以下、校長講和です。
長かった、夏休みが終了し、大きな事故もなく本日こうして2学期の始業式が行えることを、うれしく思っております。
この夏休み期間中に、ファームステイを中心とした、オーストラリアへの国際交流事業を実施することができました。参加した生徒のみなさんにとっては、大きな経験になったと思います。 今回の経験については、単に自身の経験とするばかりではなく、クラスや部活動など様々な機会を使って体験の様子を発信し、できる限り他の生徒と体験を共有していただければと思います。
さて、本日は防災の日であり、関東大震災から100年となります。100年前の大正12年9月1日11時58分に、相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9と推定される関東大地震が発生し、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県で震度6を観測し、10万棟を超える家屋が倒壊しました。また、発生が昼食の時間と重なったことから、多くの火災が発生し、大規模な延焼火災に拡大しました。この地震によって、被害を受けた住宅は総計37万棟にのぼり、死者・行方不明者は約10万5000人に及ぶなど、甚大な被害をもたらしました。
1学期に行った、防火防災訓練でも話しましたが、埼玉県では関東大震災から100年の節目となる今年、「シェイクアウト埼玉~県内一斉防災訓練~」を実施します。シェイクアウト訓練は地震発生とともに、①身をかがめ、②頭を守り、③揺れが収まるまで動かないことを徹底します。学校で地震が起きたら机などの下にもぐり、揺れが収まるまで、動かないようにしてください。日頃から、地震が起きたら、「頭上から落ちてくるものはあるか」、「どう身を守るか」「ガラスが割れて、破片が降ってくることはないか」、「帰宅困難者になるか」、どう帰宅するか」、「どう家族に連絡を取るか」など想定しておくことが極めて大切です。防災の日の今日、地震が発生したことを想定して、自分自身の行動を考えてみてください。
さて、話は変わりますが、1学期の終業式に、自分自身の強みについて話をしました。3年生はこの夏休み期間中に就職試験や入学試験に備え、しっかりと準備を進めてきたと思います。2学期は、3年生にとって、進路を決定する重要な学期です。
そこで、本日は「社会人基礎力」について話をいたします。
「社会人基礎力」という言葉を聞いたことがある人は少ないと思います。「社会人基礎力」は、国の経済産業省が10年以上前から唱えているものです。グローバル化や情報化が急速に進み、社会が急速に変化をする時代となっています。今後はAIの急速な普及により、今ある多くの仕事が無くなり、現在、存在していない仕事が急速に増えてゆき、人生100年時代を生きる皆さんは、将来、今は存在しない新たな仕事に就く可能性が十分にあります。変化の激しい世の中を生き抜くために必要なのが「社会人基礎力」です。
「社会人基礎力」は3つの能力で構成されています。1つ目が「前に踏み出す力」、2つ目が「考え抜く力」、3つ目が「チームで働く力」です。
それぞれを簡単に見ていくと、「前に踏み出す力」は、一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組むことです。そのためには、自ら進んで物事に取り組む「主体性」、他の人に働きかけ、巻き込む「働きかける力」、目標を達成するまでやり抜く「実行力」が重要になります。
続いて「考え抜く力」は、疑問を持ち、考え抜く力のことです。そのためには、今の現状を分析し、目的や課題を明らかにし、課題の解決にどのように取り組むかなど「課題解決能力」をもとにして考えることが重要になります。
最後に「チームで働く力」は、多様な人々とともに、目標に向かって協力する力のことです。そのためには、自分の意見をわかりやすく伝える「発信力」、相手の意見を丁寧に聞く「傾聴力」、意見の違いや立場の違いを理解する力や、社会のルールや人との約束を守ることなどが重要となります。
「社会人基礎力」の3つの能力は、本校の教育活動で育むことができるものです。特に、農業の学び方の基本であるプロジェクト学習や課題研究はまさに、課題を発見し、計画を立て、解決に向けて考え、仲間と協力して取り組まなければなりません。課題解決能力や協働する力を育む、この学習は社会人基礎力を育む絶好の学習スタイルです。
今回は、本県の農業高校出身の先輩であり社会人基礎力の優れた持ち主で、有機農業の普及に大きな貢献した金子美登(かねこ よしのり)さんを紹介します。
金子さんは、農林水産省の農業者大学校に在学しているときに、生態学的農業という手法で天敵で害虫を抑えたり、土の中の微生物の力で作物の生育を促す農業の魅力を知り、1971年から埼玉県小川町で、有機農業に取り組みました。
当時、ヘリコプターによる農薬の空中散布の中止を求め、周囲の農家へ説得に回った時など、周囲からは「この若造が何言っているんだ」としょっちゅう言われたそうです。
日々の取組により、金子さんの野菜の評価が高まるとともに、収穫物は、定期的に消費者に届ける「提携」の仕組みを確立し、広げ、有機農家の経営基盤を確立しました。金子さんの地道な取組から、2001年に地元集落のリーダーが、金子さんのところを訪れ、地域で足並みをそろえ有機農業をやりたいと申し出て、集落ごと有機農業に転換しました。
現在、この取り組みは、「小川町モデル」と呼ばれ、2010年に農林水産祭「むらづくり部門」で天皇杯を受賞しました。金子さんの営む霜里農場は循環型有機農業の手本であり、世界から研修生や見学者が訪れています。
私も、何度か見学に行き、お話もさせていただきました。
2001年の1月に、NHKの番組である「プロフェッショナル」で「命の農場で、土に生きる」と題して金子さんの取組が放映されました。
この年は、日照不足により日本中が凶作になりタイからコメを輸入した年でした。いもち病という伝染病が発生し、大凶作となる可能性が出ていた時に、農薬を使わずにどうやって病気を抑えるか必死に策を考え、考え抜いて、稲の天敵である雑草をあえて伸ばすことで、抑えようと試みた内容です。
もし関心があれば、いろいろなところで映像が見られますので、ご覧いただければと思います。
金子さんは、誰もやらない、有機栽培に取り組み、(前に踏み出す力)様々な困難にあいながらも考え抜いて挑戦する(考え抜く力)。常に国内外の研修生を受け入れ、累計で150人以上を育成したり、地元の農家とともに有機農業を実践する(協働する力)など、まさに、社会人基礎力と呼ばれる力がとても身に付けた人だと思います。
その金子さんですが、昨年の9月にいつものように軽トラックで田んぼの見回りに行き、帰ろうとしてエンジンをかけたところ心筋梗塞で亡くなってしまいました。74歳でした。
みなさんも、偉大な農業高校の先輩に負けないように「社会人基礎力」を高めることを意識し2学期に臨んでください。
また、3年生は、これまでの学習を通して身に付けてきた力に自信を持ち、就職試験や入学試験に臨み自分の希望する進路が実現できることを期待しています。2学期は、修学旅行、杉農祭、長距離走大会など大きな学校行事も予定されています。
新型コロナウイルスの感染者も多くなってきています。
教育活動が止まることのないように、みなさん一人ひとりの自覚ある行動を期待します。
参考:東上沿線物語HP 「有機農業のカリスマ 霜里農場(小川町)金子美登さん
農林水産省HP「天皇杯受賞」・小川町観光協会HP