杉農日記

2022年3月の記事一覧

修了式が行われました。(杉農日記)

令和4年3月24日(木)令和3年度修了式がオンラインで実施されました。

校長講話

 みなさんおはようございます。早いもので本日、令和3年度の修了式となり通知表が渡されます。

  今回の成績は、今年度1年間の皆さんの学習成果を示しているものであり、これから進路を決定する際に大きな材料となるものです。

 みなさんの、本年度の取組状況はいかがだったでしょうか。

 通知表をもらい、努力の成果が十分に表れ、さらに自信を高める人もいれば、努力の成果が報われなかった人、1年間の取り組みを反省する人など様々な人がいると思います。

 さて、3月10日に行われました卒業式で、私から卒業生に対して、「人生の夢や目標をしっかり持ち、今、この時を一生懸命に生きる」ことについて話し、一生懸命に生きるということは、「努力する」ということだと伝えました。

  本日は、「努力する」に関連して「努力の方向性」について、お話したいと思います。

  みなさんは、ハンマー投げの室伏広治さんを御存じでしょうか。

  2004年のアテネオリンピック、ハンマー投げで金メダル、2012人のロンドンオリンピックで銅メダルを獲得し、現在、スポーツ庁の長官をされています。その室伏広治さんが、 コピーライターの糸井重里さんとの対談の中で、室伏さんのお父さんについての話をしていました。

 室伏さんのお父さんは、室伏重信さんといい、現在76歳になりますが、オリンピック日本代表4回、日本選手権10連覇、アジア大会5連覇などの金字塔を打ち立て「アジアの鉄人」とうたわれる陸上界の偉大な人物です。その室伏重信さんが、とにかく投げ続けることをやってみたことがあるそうです。スランプになったときに「練習は裏切らない」ということで300本、12時間かけて、投げ続けてみたけれど、記録は逆に下がったそうです。

 それで量に頼る練習は全部やめて、フィルムを撮って、自分の姿を客観的に見て、フォームを直したら記録が伸びた。と話しています。 室伏重信さんがハンマーを投げ続けて、結果が出なかった状況は、「いくら努力をしても結果が出ない」状況です。このような状況では、「努力が足りないためだ」と考え、さらに練習量を増やしがちになります。昭和の時代ですから、科学的な根拠なくがむしゃらに練習を重ねることが当たり前の時代でした。おそらく、ハンマーを投げ続けることで、フォームが崩れ記録が下がったのだと思います。つまり、努力の方向性を誤った例だと思います。

 室伏重信さんのすごいところは、ビデオもない時代に、フィルムに自分の姿を映し、フォームの研究をする(現在では当たり前のことですが)ことに取り組み、成果を上げたことです。「努力の方向性」を改めることができたからこそ、輝かしい記録を作り、長く現役生活を送れたのだと思います。

 これまで勉強やスポーツで思うような結果が出なかった人は、努力の方向性が自分に合っていないのでは、ないでしょうか。練習をしても結果が出なかった人、勉強をしても思うような成績が取れない人はすこし立ち止まって、努力の方向性を確認してみてください。

「正しい課題に取り組めているか」「きちんと結果がでる方法なのか」「もっとよい方法はないのか」自分に問いかけてみてください。今は、ネットで様々な勉強方法が紹介されています。競技種目に即した効果的なトレーニング方法も紹介されています。

 自分に合った、勉強方法やトレーニングを見つけ出し、計画的かつ効果的に努力を行えるようにしてみてはいかがでしょうか。しかしながら、努力を続けることは、決してやさしいことではありません。努力をしていても、結果が表れないとモチベーションも下がります。努力を継続することは本当に難しいことです。

 モチベーションが下がった時に効く、努力に関する名言を3つ紹介します。

 

 「小さなことを重ねることがとんでもないところに行くただ一つの道」(イチロー)

 

 「努力すれば報われる?そうじゃないだろ。報われるまで努力するんだ」(リオネル・メッシ)

 

 「長い目で見れば才能より重要なのは、グリッド(やり抜く力)なのだ」(アンジェラ・リー・ダックワース ペンシルバニア大学心理学教授)

 

 努力の方向性が正しく、そしてその努力を積み重ねることが、みなさんの夢や目標を実現する近道だと思います。「努力」プラス「継続」が重要です。あなたが夢見た自分に近づいてください。

 これから、春休みになります。この期間に自分に向いている勉強方法を探し、効率的に努力が積み重ねるように、取り組んでみてはいかがでしょうか。

 それでは、みなさん4月には新しい学年となります。新学年に向けて、しっかりとスタートが切れるように、春休みを有意義に使い、自分自身を少しでも成長させてください。

 特に2年生は進路を決定する年になります。更なる奮起を期待しています。

  最後になりますが、交通事故や感染防止に努め、4月の始業式には元気な姿で登校してください。

 

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第74回卒業式が行われました。(杉農日記)

第74回卒業式が挙行されました。

 

式辞 

 本日ここに、保護者の皆様の御臨席を賜り、令和3年度 埼玉県立杉戸農業高等学校卒業証書授与式を挙行できますことは大きな喜びです。深く感謝申し上げます。

 保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。これまで惜しみない、愛情を注いでこられたお子様が、立派に成長を遂げ、高校卒業という大きな節目を迎えられたことに心から敬意を表しますとともに、これまで本校の教育活動に対しまして御支援・御協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。

 さて、ただいま、卒業証書を授与した236名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。みなさんが入学した当時に思い描いていた高校生活が、新型コロナウイルスのために、大きく変わってしまいました。修学旅行をはじめとする様々な学校行事や各種大会が中止や変更となり、せっかく培った力を発揮できずに悔しい思いをした人も多くいると思います。新型コロナウイルスが沈静化し、これまでのような日常を取り戻せるか、いまだに先行き不透明で予測不可能な状況です。

 このような時に、新たな道を踏み出す皆さんには、目の前にある課題に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり、よりよい社会と幸福な人生を築いてほしいと思います。そのために大切なことは、「人生の夢や目標をしっかり持ち、今、この時を一生懸命に生きる」ことです。一生懸命に生きるということは、「努力する」ということです。どのような困難が目の前に迫ろうとも、目を背けず、これまで培ってきた強い心で立ち向かい、自らの夢や目標の実現に挑戦し続けてほしいと願っています。

 陶芸家の河井寛次郎は、「過去が咲いている今、未来のつぼみでいっぱいの今」と言っています。これは、今、現在の自分は、過去の自分自身の生き方が現れたものであり、今、現在、幸せな人は、過去に多くの努力を積み重ねてきた人です。また、将来、幸せになる人は、今すべきこと・厳しい困難に対して、努力を惜しまずに取り組んでいく人のことを表しています。では、「努力する」とは何をすればよいのでしょうか。それは「自ら進んで学ぶこと」です。進学にしても、就職にしてもこれから皆さんが進もうとしている社会では、教えてもらうことは限られています。その中で、自らの目標を達成したり、周囲の期待に応えるためには、待っていては何も得るものはありません。自分で積極的に求めて行かなければなりません。

 これまで学校においては、先生の教える範囲の中で知識や技術を増やしてきました。学校の枠の中で決まったものを吸収し、それをうまく当てはめていくことを学ぶ期間でした。しかしこれからは、教科書にないものがたくさんあります。周囲のあらゆるものから学び取り、知識、技術、経験を積み上げて、新しいものを創造していくことが求められます。学びそして創る力が大切になってきます。これからの社会が求めている力である創造力を目いっぱい発揮して、新しいものを創造し、みなさんの夢や目標を達成してほしいと思います。

 自分の人生は自分自身で切り拓くことができます。可能性は、それぞれみなさん自身がもっています。みなさんは、本校の校訓である「理想」「誠実」「勤労」のもと、他校にない様々な教育活動に取り組み、課題を解決する力やともに助け合う協働する力など、様々な力を身に付けてきました。他校の生徒に決して負けないプラスアルファーの力です。自信と誇りを持ち、様々な困難に果敢に立ち向かって下さい。

 二度とない人生だからこそ、自分自身を誇れるよう、夢や目標を掲げ、一人ひとりが「困難な道に立ち向かう勇気」と「自ら進んで学ぶ態度」をしっかりと持ち、将来の幸せをつかむとともに「あなたが夢見た自分」になってください。そのことが、社会に貢献できる有為な人物として成長することに繋がります。

 卒業生の一人ひとりが、持てる力を発揮して、末永く幸せな人生を送ることを心から祈念して式辞といたします。

 

                        令和4年3月10日             埼玉県立杉戸農業高等学校長 飯田 賢

 

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